井の頭公園の桜も素敵です
花曇りの日も多いですが井の頭公園には今年も花見客がたくさん訪れています。
一部感染対策でロープが張られ近づけない場所もありますが、人であふれていない静かな桜並木を楽しめます。
井の頭弁財天の建立は鎌倉時代
江戸近郊道しるべ 現代語訳 によると井の頭弁財天の建立は1197年(建久八)。平家追討に感謝して源頼朝が建立したとされています。
弁財天脇の宇賀神像の周りにも桜がはらりと咲いていました。
この宇賀神像は人の顔をした蛇がとぐろをまいた姿。いいつたえによると
昔々、松原の長者夫婦が、井の頭弁財天に願をかけて娘を授かった。首すじに三枚のウロコのあるこの娘は、弁天様のようだと評判になるほど美しく成長したのだが、16歳の春、自分は池の主の化身だと告げて池に身を投げ、みるみる白蛇に変わってしまった。そして長者夫婦がせめてもの供養にと宇賀神像を作った
(井の頭公園まるごとガイドブック)
桜を愛でながらじっくり園内をまわると、今更ながら見どころがたくさんあるのに驚きます。
江戸時代は木々が生い茂りうっそうと
江戸時代に書かれた紀行文 嘉陵記行(国立古文書館)の井の頭弁財天の挿絵には池の周りに木がうっそうと生い茂る様子が描かれていました。
江戸近郊道しるべ(現代語訳)には今とは全く違った池の周りの様子の記述があります
本社は杮葺き、拝殿は茅葺きで、間口四間半ほどである。本社は直接池の岸に石据えしてあり、静けさもひとしおである。最近造られたばかりなのか、まだまったく整備されていない。社の東には稲荷の社がある。池はそれほど大きくはなく、たとえて言うならば、上野の不忍池の半分ほどであろうか。しかしながら、池に続いている蘆と荻が生い茂ってる沼地は非常に広い。もとより自然のままに蘆・萩をも、茅・薄をも刈り削ぐこともせずにしてあるので、池の水面も半分はこれらに覆われて、水がほとんど見えない。この蘆の奥や薄の陰には、無数の雁や鴨が群がっている。
ちなみに江戸近郊道しるべは国立図書館コレクションアーカイブで無料で読むことができます。
この井の頭を特徴づける風景が大きく変化したのは第二次世界大戦。
空襲で亡くなった方々のお棺を作るために、びっしりと生えていた約4ヘクタールの杉林が伐採されたそうです(井の頭公園まるごとガイドブックより)
250本の桜の木
今では池の周りに約250本の桜が植えられ、桜の時期はとてもにぎわいます。
何百年も前から横たわり、色んな木々や風景を水面に映し出してきた池には、今では満開の桜が映し出されています。
ひょうたん池は舞い落ちた桜の花でいっぱいでした。
今年の桜もあと少しでみおさめです。
井の頭公園はこちらでも紹介しています。